はじめての漆器|1. 漆器について知る

はじめての漆器|1. 漆器について知る

漆器とは


「漆器」とは、一般的に、ウルシ科ウルシ属ウルシの樹液である生漆を精製した塗料を塗り重ねて作る工芸品を指します。カシュー塗装やウレタン塗装の漆器は「合成漆器」と呼ばれ、天然の漆のみで作られた漆器よりもお手入れが簡単で扱いやすいため、現代のライフスタイルに合わせた新たな漆器として注目されています。

漆器は、適度なお手入れが必要かつ一般的な食器よりも高価なイメージがあるため、特に若年層には馴染みが少なくなっていますが、いくつかのお手入れポイントを抑えるだけで長くお使いいただけるサステナブルな食器でもあります。

漆器のお手入れについて


また、他にはない美しいツヤや独特の絵柄が多くの人を魅了し、その歴史や製造プロセスを理解することが重要です。


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漆器の歴史


漆器の歴史は古く、漆塗りの技術は縄文時代にはすでに接着剤、さらに装飾にも用いられていました。やがて仏具、仏像の装飾など芸術的な役割が増えて蒔絵、螺鈿など漆工芸の豪華絢爛な技法が用いられ、平安時代に華やかな芸術へと昇華していきます。

江戸時代には漆器が一般庶民の間にも普及し、各藩が漆器づくりを推奨したことから、津軽塗や高岡漆器など、特色ある漆器が各地に誕生しました。

今や漆器は、世界で「Japan」と呼ばれ、日本国内だけでなく世界中にファンを持つ工芸品となりました。

代表的な漆器


代表的な漆器として、日本三大漆器にも称される「山中漆器」「会津漆器」「紀州漆器」に加え、「越前漆器」と「若狭塗」の5品をご紹介します。

山中漆器

山中漆器は木の素材を活かした漆器です。木地挽物技術に優れ、透けるような薄さで挽く「薄挽き」、挽きの技術によって無数の筋のデザインを施す「加飾挽き」といった山中にしか成し得ない繊細で高度な技術を駆使して、木の温もりと寄り添うモノづくりをしています。

また、「近代漆器」とも呼ばれているプラスチック素地や合成塗料を活かした技術も持ち合わせており、主にお弁当箱や現代の生活様式に合わせた食洗・レンジ対応の食器類など、木では表現出来ない機能性や自由度の高いモノづくりの産地としても有名です。

会津漆器

会津漆器は、安土桃山時代に豊臣秀吉の命を受けた会津の領主が、漆工芸を産業として奨励したのがはじまりとされています。特徴は、塗りの表面の美しさと表面に絵を描く蒔絵など職人の技術が光る加飾です。

現在は、地域全体で公共の建物や学校などに漆製品を増やしていく活動に取り組んでいます。

紀州漆器

紀州漆器とは室町時代からつくられている漆器で、近江の木地師が、紀州の豊富な材木で渋地椀(柿渋に木炭の粉をまぜたものを下地とした椀)をつくり始めたのが起源とされています。その地名から「黒江塗」とも呼ばれています。

越前漆器

主に福井県鯖江市河田地区で作られており、長い年月をかけ漆器づくりの技術を育んできました。越前漆器は、各産地の加飾技法の技術(沈金や蒔絵等)を取り入れ、現代の感性や生活様式に合わせたモノづくりをしてまいりました。 現代ではハレの日に用いられる高級漆器の制作をはじめ、日常使いに使われるお椀やお箸を中心にどのご家庭でも気軽に使える漆器づくりをしております。

若狭塗

若狭は、日本全国No1のシェアを誇る塗り箸の産地です。若狭塗の特徴は、色とりどりの色漆を塗り重ね、塗り重ねた漆の層を研ぎだし磨き上げるなど、10以上の製作工程を施すことです。

古くから引き継がれている伝統的な若狭塗の柄を基に、その技術を継承し日本の和の文化に合った箸だけでなく、海外の洋の文化にも寄り添うモダンなデザインを取り入れています。

まとめ


伝統的な漆器は、一般的には価格が高く、適度なお手入れが必要となります。ですが、はじめての漆器を手にすることで、日本の文化や歴史に触れながら、職人の手仕事の温かさも感じることができます。是非、はじめての漆器との出会いをお楽しみください。