他の漆器産地にはない、独特のデザインが特徴的な「津軽塗」。
その個性あふれるデザインと、漆のしっとりと手に吸い付くような質感に魅了される方も多く、津軽塗のお箸は人気の高い漆器の一つです。
津軽塗とは
津軽塗(つがるぬり)は、青森県津軽地方で生まれた日本の伝統的な漆器技法です。その起源は江戸時代初期に遡り、300年以上の歴史があります。
津軽塗は、幾重にも漆を重ねて塗り、その後に研ぎ出しや加飾を施すことで、独特の模様や質感を生み出します。この複雑な工程を経て、唯一無二の美しい柄が生まれます。
津軽塗の技法
津軽塗には代表的な4つの技法があり、すべての技法が漆を数十回塗り重ね、研磨仕上げを施す、300年以上変わることのない伝統技法をそのまま受け継いでいます。
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唐塗(からぬり):
穴の開いたへらで斑点模様をつけ、上から色漆を重ねて研ぎ出し、その研ぎ出した面に独特の斑点模様が浮かび上がる技法。最もポピュラーで鮮やかな津軽塗です。
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七々子塗(ななこぬり):
菜の花の種を蒔いて大小さまざまな丸い模様を出す技法。決して派手ではなく、落ち着きとやわらかさを兼ね備えた津軽塗です。
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錦塗(にしきぬり)
4つの技法の中で最も新しく、ななこ地に黒漆で桜を唐草風にデザインした唐草や、 菱形・稲妻型の紗綾形を描き錫粉を蒔いて「錦」を想わせるような華やかな技法。 -
紋紗塗(もんしゃぬり)
黒漆で模様を筆描きし、もみ殻の炭粉を蒔いて黒漆模様を研ぎ出す技法。黒漆と炭粉を使うこの塗りは全国的にも他にないと言われており、光の当て方によって黒漆の模様が浮かび上がります。
津軽塗の魅力
津軽塗は、その見た目の美しさだけでなく、耐久性も兼ね備えています。
「堅牢」という言葉で評される津軽塗は、丁寧に扱うことで、箸であれば10年以上使い続けることが可能とされています。漆の抗菌作用と強度も相余って長持ちし、使い心地も抜群です。
また、手作業で一つひとつ丁寧に仕上げられるため、一本一本に個性があり、同じものは二つとありません。
箸のお手入れ
津軽塗の箸は、適切に手入れをすることで、長く美しい状態を保つことができます。基本的なお手入れは、他の漆器と変わりません。
食洗機や乾燥機の使用は避け、使用後は柔らかい布やスポンジで優しく洗い、直射日光を避けて乾燥させてください。
漆器特有のしっとりとした質感を楽しむために、定期的に漆器専用のオイルで手入れをすると、使うたびにさらに美しい艶を楽しむことが出来ます。
まとめ
津軽塗のお箸は、300年以上の伝統と技術が融合した美しい工芸品です。その独特の模様と質感、そして耐久性などから多くの人々に愛されています。
また、同じ津軽塗でも、技法によってデザインは全く異なります。是非、お気に入りの津軽塗箸で、普段の食卓をより一層豊かに彩ってみてはいかがでしょうか。